レーガン政府は、86年10月、2度目の税制改革を実施しました。その内容は概ね“公正・成長・簡素”の理念に沿うものでした。しかし、これはあくまで減税は経済成長に資するというレーガノミックスの基本理念を貫いたものであって、アメリカの主要な問題点である過剰消費体質の是正には不充分な改革でした。かくしてレーガノミックスの8年間は、光の部分をみればインフレの抑制に成功し、90年夏まで続いた長期の景気拡大局面の下で、1700万人の雇用を創出し、一見したところ優れた成果を収めました。しかし影の部分をみると、財政と貿易収支の大幅な慢性的赤字に加え、企業や個人も借金漬けの状態に陥り、ドルの信認は大きく低下したのです。国内での貧富の格差の拡大、社会保障の後退も目立ちました。総括すれば、アメリカ経済の構造的弱さを根付かせてしまった点で、失敗であったと評価されると思います。
政府の[生活大国5か年計画]の下敷きになった経済審議会の「2010年委員会報告」は、国民生活を取り巻く環境の変化を次のように展望しています。人口と労働力=総人口は1億2,360万人から、2010年には1億2,950万人になったあと、減少に向かう。高齢者の比率は現在の12%から21%に高まり、生産年齢人口は1995年の8,710万人をピークに2010年には8,090万人に減少する。世帯と家族=世帯数は3,900万から4,800万に増加、独り暮らしが増えるので世帯人員は3.1人から2.6人に減る。晩婚化か進み、生涯未婚率が上昇する。出生率が低下して、長男と長女が目立ってくる。価値観=心の豊かさを重視する傾向が強まり、自由時間を持ちたいという意識が広がる。仕事が生きがいという時代から、さまざまな分野の活動に価値を見出す時代になる。環境=家庭のエネルギー消費量はいまのままのペースだと1.9倍になり、省エネルギーが徹底しても1.6倍に。ゴミの排出量はほぼ2倍、二酸化炭素は1.4倍に増える。生活=平均寿命は男81.8歳、女83.5歳に伸びて、生涯生活時間は、男の場合で66.5万時間から68万時間に増える。完全週休2日制と欧米並みの長期休暇が普及すれば、年間総労働時間は1,700時間程度に縮まる。
近年、日本企業の海外拠点としてもっとも注目されたのはアジア、とくに中国だった。しかし現在は、その状勢が変化しつつある。たとえば、100円ショップの商品の多くは人件費や輸送費が安い中国の工場で生産されてきた。100円ショップにとっては、何よりも原価の安さが絶対条件だからである。ところが、中国経済の発達にともない、中国国内での賃金も上昇してきた。江西省南昌市の法定最低賃金は、2004年からの3年間で1・5倍強に当たる月580元(約8600円)になった。このように、人件費が上昇すると、コスト削減のうまみが薄くなる。そこで最近は、中国よりもさらに人件費が安い東南アジアやインドといった国への拠点移動が検討されている。なかでもベトナムへの注目が高く、キヤノンやブラザー工業などの光学機器メーカーや事務用品メーカーが進出している。日本企業のベトナムへの投資額は2004年から3年間で9倍にも達し、進出企業も1000社を超えた。